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シニアリフォーム
介護いらずのシニアリフォーム
「介護」。将来のことを考えたとき、とても重要な意味を持つ言葉だと感じます。する側にとってもされる側にとっても、大きな事柄です。そして大きなお金が必要になってくる事柄でもあります。
不本意な形で「介護」と出会わないために、シニアリフォームを考えてみませんか? 継続的な「介護費用」の代わりに、家庭内の安全に投資することも一つの選択肢だとわたしたちは思っています。
わたしたちからの以下のご提案をぜひご一読ください。
年間1万人! 45歳以上では交通事故死よりも多い家庭内の事故死
家庭内における不慮の事故で亡くなられる方は毎年 1万人を超えています。
しかも、ここ数年(1997年~2000年)で 12%も増加しています。
45歳以上では、家庭内事故死者 10,084名に対して交通事故死者 8,377名であり、家庭内事故死者が日々テレビや新聞で報道され社会問題化している交通事故死者を上回っています。
家の中は安全なはずと思い込み、自分の家のことは熟知しているから大丈夫として、家庭内の安全に対する配慮がおろそかになっているのではないでしょか。
45歳以上の家庭内事故死者(2000年) | 45歳以上の交通事故死者(2000年) |
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厚生労働省「2000年人口動態統計」
溺死・溺水と転倒・転落
溺死・溺水と転倒・転落で年間 5千人が家庭内で死亡! 入浴中の急死が年間 1万4千人との推定も
家庭内での住宅関連の事故死を原因別に見ると、(1)溺死・溺水 、(2)転倒・転落が二大要因で、この2つだけで年間に 5千人以上もの方が亡くなっています。ちなみに、ニュースでしばしば報道される火災・火傷による死亡者は年間1千人に過ぎません。
45歳以上の住宅関連の家庭内事故死者数 (2000年) |
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厚生労働省「人口動態統計」2000年
(1)溺死・溺水 - 浴室内の温度差に注意! 推定年間 1万4千人が入浴死
溺死・溺水は、住宅関連の家庭内事故としてはトップで、年間 3千人を超える45歳以上の方が亡くなられています。
溺死・溺水の死亡例の 90%以上が浴槽での溺死・溺水です。
溺死に病死を加えた入浴中の急死者は、年間 1万4千人も発生しているとの推定もあります(東京消防庁の外郭団体・東京救急協会、東京ガス都市生活研究所の推定)。
溺死・溺水の主な原因は、「室内での温度差」です。
(2)転倒・転落 - 階段等のつまずき・すべりに注意! 寝たきり原因の 12%
転倒・転落は、住宅関連の家庭内事故としては2番目で、年間 2千人弱の 45歳以上の方が亡くなられています。
在宅高齢者の転倒発生率(年間)は 10~20% もの水準だといわれています(日本医事新報「高齢者の転倒・骨折をめぐって」2000年)。
寝たきりとなった原因でも、12% が骨折・転倒によるものという調査結果も出ています(厚生労働省「国民生活基礎調査」2000年)。
転倒・転落の主な原因は、「すべり・つまずき」です。
冬のひやりは心疾患・脳血管疾患の
引き金!
室内の温度差
暖房のない冬の寒い浴室・脱衣室(10℃以下)と暖かい居間(20℃)や熱いお湯(42℃)との温度差が多くの入浴事故を引き起こしています。
前述のように、年間 1万4千人もの方が入浴死でなくなられ、その数倍の方が要介護・寝たきりになられているものと推定されます。
寒いところで衣服を脱いで、冷え切った浴室に入ると血圧が上がり、掛け湯をすると刺激でさらに血圧が上昇します。
その上、熱い浴槽に入るのでまた血圧が上昇します。
その後体が温まるにつれて血流が良くなり血圧は低下しますが、体を洗うとその刺激や運動で血圧はまた上昇します。
このような急激な血圧の変動が、心疾患(狭心症等)や脳血管疾患(脳卒中等)による突然死を引き起こします。
室内の温度差解消のための
シニアリフォーム
室内の温度差の解消としては…
- まずタイル貼り等の左官仕上げの古いタイプの浴室については、ユニットバス等の気密性のよいものに改修することが肝要です。
- その上で浴室・脱衣室の暖房
- 洗面所・トイレの暖房
…をすることが主なポイントとなります。家全体の断熱性を高めることも有効ですが、該当する部屋(部位)に暖房器具を設置しましょう。
浴室・脱衣室の暖房
浴室暖房乾燥機(脱衣室暖房付)
浴室・脱衣室には、短時間で暖房でき、カビを防ぎ洗濯物を乾かす乾燥機としても利用できる浴室暖房乾燥機(脱衣室暖房付)を設置して、入浴前に暖房しましょう。
天井に遠赤外線の浴室用ヒーターを設置するのもよいでしょう。
冬は浴室が寒くてつらい。
暖房するとポカポカ快適!
すべり・つまずき - 1回滑って
一生寝たきりの恐れ!
家庭内の事故が最も多い階段において、事故に至る主なパターンは、
- 階段の不具合(急勾配で足を踏み外す、手すりが折れる、滑り止めにつまずく等)
- 照明(夜は暗くて、昼間でも暗くて、全体的に暗い、部分により明暗の差がある等)
- 衣服・履物によるすべり、つまずき(タイツ、靴下、スリッパ、ズボン等)
- 物の運搬(ふとん、洗濯物、家具等) によって転倒・転落して打撲・骨折するもの
です。階段を下りる時の事故が上がる時の事故の4倍を超えています。
階段は家庭内の骨折事故件数の 24% を占め、最も骨折の起きやすい場所であり、後遺症が心配なケースも多くなっています(国民生活センター「特別調査 家庭内事故に関する調査報告書 家庭内事故 - その実態を探る」1999年、同「くらしの危険 238家庭内で圧倒的に多い階段の事故」2000年)。
敷居・床・畳では、段差や出っ張りにつまずき、床の材質・処理等により滑り、履いているものが滑り、落ちているものや置いてあるものを踏んで滑ったりつまずいたりして転倒するケースが目立っています。
すべり・つまずきによる転倒が飛び抜けて多く、半数以上が敷居で発生しており、敷居のわずかな段差がつまずきの原因とみられています(国民生活センター「特別調査 家庭内事故に関する調査報告書 家庭内事故 - その実態を探る」1999年)。
すべり・つまずき防止のためのシニアリフォーム
すべり・つまずきを防止するためには、
- (1)段差の解消
- (2)手すりの装着
- (3)(夜間の)照明
が主なポイントです。
場所(部位)としては、
- (1)階段
- (2)浴室(風呂場・浴槽・シャワー)
- (3)敷居・床・畳
が中心になります。
(1)階段についての注意点
- 階段の形状に気をつけましょう。踊り場がカーブになっている階段、上がりはじめにカーブのある階段、上がる途中や上がりきったところにカーブがある階段の順に危険度が増します。
- 階段は踏み面(踏む部分の奥行き)を 26~32cm 程度と広く取り、蹴上げ(1段の高さ)を 15~18cm 程度の緩やかな傾斜とし、最下段から最上段までの距離が2間分(364cm)あると楽に上り下りできます。
- 階段幅は、通常は 80~90cm 程度ですが、100~110cm 程度にまで広げると足元もよく見えて安心です。
- 手すりは、できれば両側につけましょう。階段幅が狭くて片側しかつけられない場合(壁面から 10cm ほど出っ張る手すり部分を除いた階段の有効幅は 75cm 以上必要です)は下りるときの利き腕がふれる側に、最上段より長めにつけましょう。
両端は、袖が引っかからないように、伸ばして壁につけて終わらせましょう。手すりの高さは 80cm が標準ですが、使う人に合わせて調整します(大腿骨付け根の大転子骨の高さが最適)。
手すりの太さは、一般的に直径 32~36mm 程度とされていますが、必ず実際に握ってみて使い勝手を確認しましょう。
- 床材はすべりにくい床材(ノンスリップ加工を施した面材や毛足の短いカーペットなど)を選びましょう。すべり止めは、出っ張ってつけるとかえってつまずきやすく危険な場合もありますので、埋め込み式の方がいいでしょう。
- 段差のあるところは、見分けがつきやすいように色調を変える(例: 色を塗る、テープをはる)などをしましょう。
- 足元灯を上下に2カ所、できれば上・中・下の3カ所につけ、足元を明るくし暗がりをつけない工夫をしましょう。スイッチが人の存在(人感センサー)で自動的に入るタイプがより安心です。
廊下を歩くときに足元が不安。
廊下・階段などに手すりをつければ安心。
(2)浴室(風呂場・浴槽・シャワー)の注意点
- 床材は、ノンスリップタイルなど、表面がでこぼこになったすべりにくい素材を選びましょう。
- 浴槽に入るときと洗い場で移動するときに使う手すりをつけましょう。
浴槽内に出入りするときにつかめるよう浴槽の縁近くの壁に縦手すりを1本、入浴しながら手を伸ばして届く位置に、縦手すりで立ち座りの動作を補助し、横手すりで体位を保持できるL字型の手すりを取り付けるとよいでしょう。 - つまずきにくいよう、浴室内外の段差は 20mm 以下にしましょう。
できれば排水溝を設け、覆い(グレーチング)を敷設することで段差をなくしましょう。浴室内と脱衣室の段差が少なくても、ドアを止めた時に浴室内からの水漏れ防止のためのハネが自動的に上がるドアもあります。
すのこでの浴室内の段差解消は、設置自体は簡単ですが、掃除等の手間がかかります。 - 浴室のドアはガラス製を避け、プラスチックにしましょう。
浴槽をまたぐのがたいへん。
手すりを付けてバランスをとるとラク。
(3)敷居・床・畳の注意点
- 段差をなくしましょう。どうしてもなくせない段差は、5mm 以下、できれば 3mm 以内にしましょう。
- 敷居は床面に合わせて削るか、赤色で色分けする等して目立つようにしましょう。
- スロープは、簡単な据え置きタイプのものでは動きやすく、わずかな段差でもつまずきの原因になるので、固定式にしましょう。勾配は 1/15~1/12 を目安としましょう。
- 収納場所を確保して、物を散らかさないようにしましょう。